MR04LNは最強Wi-Fiルーターには間違いない、メリット・デメリット・評価・評判からオススメ度を考える

NECテクニカよりSIMフリーモバイルWi-Fiルーターの最新モデルが発売になりました。

「MR04LN」はこれまでSIMフリーWi-Fiルーターの定番として売られ続けていた、MR03LNの後継機にあたります。MR03LNは手頃な価格で購入できる複数のLTE Bandに対応した高機能Wi-Fiルーターで、初期こそ不安定な動作を見せていましたがアップデートによるサポートによって、今では非常に安定して使える高機能ルーターとして盤石な評価を得ています。

このMR03LNは今でも余裕で最前線で使えるWi-Fiルーターですが、このMR03LNを更に機能アップさせたモバイルWi-FiルーターがMR04LNです。MR04LNでは通信可能な速度が更に上がり、対応LTE Bandも増加、更にはCA(キャリアアグリゲーション)にも対応したほぼ完璧なモバイルWi-Fiルーターとして進化して登場しました。

今回はこのMR04LNの機能とメリットについての紹介と、存在するデメリットの問題についても触れ、本当に購入すべきWi-Fiルーターなのかどうかを考えてみたいと思います。

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MR04LNのスペック

MR04LNは何がそんなに凄いのか。それを知るためにはまずこのルーターのスペックを一旦確かめてから、それから個別の機能の凄さについて説明してみようと思います。

Aterm-MR04LN SIMフリーモバイルWi-Fiルーター
サイズ 111×63×11 mm
重さ 約111g
SIMサイズ Micro SIM×2スロット(デュアルSIM)
LTE対応Band 1/3/8/11/17/18/19/21
3G対応Band 1/5/6/8/9/19
Wi-Fi対応 11ac/n/a/b/g 2.4GHz,5GHz帯対応
連続通信時間 Wi-Fi時:12時間Bluetooth時:24時間
休止時間 ウェイティング:30時間休止時:250時間
その他 Bluetooth対応タッチパネル搭載電池2300mAh

・LTE-Advanceの最新高速通信規格に対応
・IIJmio、OCNモバイルONE、DMM mobile、NifMo、楽天モバイル、BIGLOBEなど、MVNOのAPNがプリインストール
・公衆無線LANへの接続も可能(ただしパスワード付きのものに勝手に繋がってしまうなど、使い勝手はあまり良くない)
・LTEの国際ローミングに対応し海外利用も可能

 

docomo・au・SoftBank網のLTE Bandに対応

MR04LN

モバイルWi-Fiルーターにおいて、昨今大事になってきているのは対応Band(対応周波数)です。昔はどれだけ長い時間通信が出来るかという、バッテリー容量についてがスペックを語る時に大きく取り上げられてきましたが、ルーターの機能も進化してきて、通信を行わない時は待機・スリープ状態に自動的に切り替えられて、バッテリー消費をそれほど神経質に気にしなくてよくなりました。

機能の進化によってバッテリーの問題が解消されてくると同時に、各携帯キャリアが展開するLTE網の整備も本格的になり、今ではモバイル通信の主流は高速通信が可能なLTE回線が当たり前になってきました。そうすると大事になってくるのが、どんな場所でもLTE網に繋がるルーター、LTE対応エリアの広いルーターというのが求められるようになりました。

このLTE網の対応は、LTE BandあるいはLTE周波数といった部分が充実しているか否かで判断出来ます。近頃の1万円以上するモバイルWi-Fiルーターにおいては最低でも国内キャリア、特にdocomoの周波数で3つのLTE Bandぐらいには対応していると非常に使いやすくなると考えられます。

 

さてこの点MR04LNはどうなっているかというとdocomoのLTE Bandに4つ対応しているだけでなく、SoftBankのLTEにも3つ、auのLTEにも3つ対応しています。つまりこれまでのモバイルWi-Fiルーターは、主にdocomo回線網での利用がその用途として見なされていましたが、MR04LNはdocomoだけでなくSoftBankやauでも通信が出来るようになっており、それもLTEの高速回線網を広い場所で使うことの出来る対応状況になっています。

LTE Band docomo au SoftBank
Band1
Band3
Band8
Band17
Band18
Band19
Band11
Band21

おそらくはMR04LNの主な使い道はMVNOの回線という人が多いと思いますが、これならdocomo系だけでなくau系も扱うことができ、更には来るべきSoftBank回線のMVNOでもメインの周波数かつプラチナバンドの回線をフルスペックで使えるようになっています。

MR04LNの凄さではまずこのLTE Bandの対応状況が挙げられます。

なお開発段階の技適情報をみると、3キャリアで2015年以降利用展開が予定されているBand28への対応があったのですが、製品版ではこのBand対応はスペック表には出てきていません。またauとSoftBankがもつ高速通信規格であるWiMAX2/AXGPのBand41にも対応しているという情報もありましたが、こちらは未発表・未発売のMR04LZというau回線向けにでたMR03LEの後継機種が対応する予定のようです。

 

デュアルSIMで複数回線を利用可能

MR04LNの大きなメリットとして、これだけの万能性のあるLTE Band・対応周波数を持っていることもありますが、もう1つ大きな要素として、このLTE Bandを最大限活かせるデュアルSIM仕様になっているということが挙げられます。

これまで多くのSIMフリー端末が日本で発売されてきて中にはデュアルSIM仕様の端末もありましたが、そのほとんどがデュアルSIMの利点を全く活かせない仕様になっていました。片方はLTEに対応した待受・データ通信が可能にも関わらず、もう片方は日本ではほとんど使われていないGSM待受になり、3Gの音声通話すらできないお飾りのデュアルSIM仕様の端末ばかりで、デュアルSIMによる複数SIMカードの利用はほとんどできない・役立たないものになっていました。

MR04LNはそうした形だけのデュアルSIM機種とは違い、Wi-Fiルーターながら両方のSIMスロットでLTE+3Gでの通信接続が可能です。両方のSIMスロットで高速通信が可能な恐らくは日本ではじめてのモバイル端末となっています。

このデュアルSIM待受のフル機能利用可能な仕様によって、例えばMVNOの格安SIMを2種類挿して使うことが出来るようになり、その時間帯で速度の出るMVNOを切り替えて使うというような利用法が考えられます。お昼は高速通信が可能なNifMoを使いながら、それ以外の時間帯でyoutubeなどを見たい場合にはぷららの無制限プランをつかうというのもできます。

このようにデュアルSIM対応によって複数のSIMカードによるデータ通信の切り替えが出来るという非常に高いメリットのあるのがMR04LNなのです。

 

mineo、UQ mobileで通信確認・docomo系SIMとの切り替えも可能

そしてこのデュアルSIMの使い方として最も想定される利用方法として、docomo系格安SIMとau系格安SIMのデュアル運用というのがあるでしょう。docomo系とau系の2つのSIMを切り替えることが出来れば、通信障害が起きたときやエリア的に圏外になってしまった場合などに、全く別の回線網を使って接続できるため、リスクがかなり軽減されることになります。

実際MR04LNの接続確認事業者欄には公式的に記されていないものの、LTE Band表記にもあるようにauのLTE通信網に対応しており、すでにmineoとUQ mobileでもMR04LNの利用に全く問題なく使えることが確認できています。

これによりデュアルSIMかつSIMフリーという2つの条件によって満たすことが出来る「異なるキャリアSIM回線での相互切り替え」にMR04LNは対応しているのです。

例えば先程、速度の出る回線と無制限SIMの組み合わせを例に出しましたが、au系の格安SIMも使えるため、片方を速度の出る通常SIM(NifMo)にして、もう1つは制限付きながらも通信速度・通信状態の安定度では抜群のものを誇るUQ mobileの無制限プランをSIMスロットに装備するという形も出来ます。個人的にはこのNifMoとUQ mobileの無制限SIMの2つの組み合わせがMR04LNには良いと思っています。ぷららモバイルLTEがそれほど速度面で安定しないため、1000円安くて確実に500kbpsを流してくれるUQ mobileのほうが使いやすいと判断しています。これならば料金も安く、速度が必要な時にはNifMoの高速回線、ストリーミング通信(LINE MusicやApple Music)も低料金で楽しむことが出来ます。

 

CA(キャリアアグリゲーション)対応で格安SIMの速度も改善

更にさらに大きなメリットとしてもう一つ、CA(キャリアアグリゲーション)に対応していることが挙げられます。

これまでのルーター及びスマートフォンは、どれも一つの周波数に接続して、その周波数のみでネットへと接続・通信する形をとっていたのですが、CAに対応するルーターやスマートフォンは、この周波数を一つではなく二つ束ねて通信する技術になっており、これを利用すると二つの回線で通信することが出来ます。

二つの回線を使うということはその分混雑なども緩和されて、より速度が出るということに繋がります。単純に速度が2倍になる仕組みではありませんが、1.2倍〜1.5倍ほどの速度の改善は期待出来ます。これは格安SIMでも同じで、CAによる改善は効果として現れます。特に格安SIMなんかは速度低下が起きやすい性質を持っているため、LTEエリア内ならこのキャリアアグリゲーションの恩恵をかなり受けることが出来るでしょう。

 

Bluetoothテザリングやクレードル接続など役立つ機能が複数

MR04LN1

他にも特徴・メリットは存在します。

使い方によって便利な機能になるのは「Bluetoothテザリング」でしょう。これは通常スマートフォンとの通信接続をWi-Fi接続で行うものを、Bluetooth接続による通信で行う方法のことです。Bluetooth接続の利点は、電池持ちが極端に良くなることです。このMR04LNの公称スペックでは、Wi-Fi通信では12時間の連続通信が出来るとしていますが、Bluetoothテザリング時にはこの倍の24時間にもおよぶ連続通信が可能になります。バッテリー消費を抑えながら、ネット通信が出来るというわけです。

ただしBluetoothテザリングでは回線速度が制限されるデメリットもあります。Bluetoothテザリングでは上限のダウンロード速度は3Mbpsまでとなっており、高速通信ではWi-Fiの比ではありません。

速度よりも利用時間を重視した使い方がしたいときには役に立ちます。

そして専用のクレードルがついてきているため、充電のしやすさと同時にPCとの有線LAN接続も可能になっています。中々LTE回線を有線接続する機会というのは多くないとは思いますが、PCとの接続をしたい時に非常に簡単に使うことができ、充電も簡単ということで何かと重宝することの多いアイテムです。

 

メリットは多いものの、デメリットもある

MR04LNにはこれだけのメリットが存在しており、SIM挿入型のモバイルWi-Fiルーターの中でもトップクラスのフルスペック機能を持っているのがわかります。特にSIMフリースマホやルーターではdocomoのキャリアアグリゲーションはIMEIロックの対象になっていることがほとんどなのですが、このMR04LNでは事前にそのCA問題を解決して機能として実現可能にしています。

LTE Bandの対応数的にもこれから5年ぐらいはメインのモバイルWi-Fiルーターとして使っていくことが出来るのではないでしょうか。

しかしこんなメリットだらけのMR04LNですが、もちろんメリットだけのモバイルWi-Fiルーターではありません。デメリットや使いづらさというのも既に評判としてたっている部分もあり、そうした点にもしっかりと目を向けなければなりません。以下ではそのデメリットや使いづらい点を紹介することにしましょう。

 

SIM切り替えに再起動で1分は必要

大きなメリットとしてデュアルSIMの存在を挙げましたが、このデュアルSIMの接続切り替えについて、MR04LNはスマートでもスムーズでもないちょっと残念な仕様になっています。SIMの切り替えを行うとほぼ再起動という形になり、別のSIMを使うのに1分ほど起動時間を待たなければいけなくなります。これははっきり言ってストレスです。

もっとスムーズさがないと、使いたいときに使えないということでSIM切り替えの恩恵というもの感じづらく、将来的にこのSIM切り替えが面倒でそのまま変更せずに使い続けることになりそうな予感がしています。便利ではあるものの、そこに時間がかかってはその便利さも薄く感じられてしまいます。

デュアルSIM部分にMR04LNの魅力を感じていた人は、この部分は期待よりも遅い挙動と言わざるをえないので、そこを覚悟しておくことが必要です。

 

多機能故に価格が高くコスパは微妙

そしてデメリットというには変なのですが、高機能なモバイルWi-Fiルーターとして確実にトップクラスに位置付けられるMR04LNですが、これだけの高性能・多機能なルーター故に、販売価格は非常に高額になってしまっています。

普通の販売店では28590円とちょっとしたSIMフリースマホ以上の販売価格になっています。前の機種であるMR03LNと比べると実に倍以上の価格差です。一応最安値ではAmazonのOCNモバイルONEセットがクレードル付きで27000円で売られています。これはOCNモバイルONEの契約も別に必須ではなく、販促のためにOCNがSIMセットにする形で安く売っているセットです。ただこれでも27000円と高額なため、金額の高さは目立ちます(クレードルなしは25758円)。

追記:最近はOCNモバイルONEのSIMカードとセットで20000円ほどに下がってきています。しかもタイムセールによって

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MR03LNとの比較はもちろんのこと、大容量バッテリーとCA対応、クワッドバンドに対応したdocomoのモバイルWi-FiルーターL-01Gの白ロム価格と比べても高額になっています。特にL-01Gとの違いはデュアルSIM対応やau系格安SIMを使う必要がないという人にとってはほぼないに等しいもので、普通にdocomo系の格安SIM1枚をルーターに入れて使いたいという場合、L-01Gの18000円に比べてMR04LNの27000円は高額でありコスパも良くないのは事実です。

モバイルオタクな人にとっては夢のような多機能ルーターではあるものの、普通に使うだけならばL-01GやMR03LNのほうが安くてLTE Band的にも十分な価値があるでしょう。ある程度機能をフルに使える知識がない限りには、あえてMR04LNでなくてもいいかもしれません

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Wi-Fi STATION L-01GはMVNOの格安SIMでも抜群の使いやすさ | 格安スマホ回線研究所

ここであえてMR04LNを選ぶ意味を考えるとするならば、モバイルWi-Fiルーターはスマートフォンと違って高性能なモデルは非常に長い間不満なく使い続けられます。スマホのようにある程度のサイクルごとに買い換えないと時代遅れになるということはありません。例えばdocomoから4年前に販売されたルーターL-09Cは、未だに使えるということで5000円前後で中古市場で取引されています。

今回のMR04LNはそのスペックから言っても電池の買い換えは必要でしょうが、今後4~5年ぐらいは不便なく使えるルーターになるでしょう。そうすると長期間利用するという費用対効果を考えると、決して27000円という価格も高くはないと考えることができるかもしれません。無くしたり壊したりしないこと前提ですが、4,5年使えることを考えれば値段にも納得はいくのではないでしょうか。

 

まとめ:価格の問題はあるが機能の豊富さ・高スペックさはオススメに値する

このようにMR04LNの最大のネックはその販売価格にあります。ルーターという存在にどれだけの価値を置くかで価格の妥当性も違ってきますが、多くの人には高いと感じられてしまうでしょう。一方でそれ以外の部分では本当に機能も多いしスペックも過去最高、今のところ出ているユーザーレビューや評判でも不具合のようなものは語られていません。仮に問題があってもMR03LNのように国内メーカーらしいアップデートによるアフターサポートを実施してくれるのは確かでしょう。

長く使えるWi-Fiルーターとして、その実力は確かであることから、とにかく良いものを購入したいという人にはNECの本気ルーターであるMR04LNは十分選ぶ価値があるでしょう。

 

速度の出るNifMoやUQ mobile、プランが豊富なDMM mobileやmineoなどを組み合わせてデュアルSIMで運用するほうがいいでしょう。速度の参考は以下の記事で。

MVNO/格安SIMの速度比較 IIJmio/NifMo/楽天/So-net/OCN/BIGLOBE/DMM/UQ mobile/mineo | 格安スマホ回線研究所

5 件のコメント

  • UQ mobileでもMR04LNの利用に全く問題なく使えることが確認できています。

    とのことですが、いろいろ調べても、mineoは、ヒットするのですが、AtermMR04とUQmobileとの利用については、見つけることができません。どのような媒体等(ブログ)で確認できているのでしょうか?

    • MR04LNを購入後にUQのカウンターでUQmobileに接続できることを確認してもらい、正常にインターネットに接続できたので契約してきました。
      今、MR04LN + UQmobileでこの書き込みをしています。

  • これってACアダプタもついているんですよね?速度こだわらなければ既存のプロバイダ解約してSIM挿して、1000円かからずにネットができるのでしょうか?甘すぎですか?

    • もしも固定回線を解約するつもりならオススメしません。速度を気にしないと言っても制限後はヤフーの表示にすらもたつくのがモバイル回線ですので、とてもじゃないですがこれを固定回線代わりには使えません。

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