格安SIM、mineoについてその概要を解説していきましょう。
mineo「マイネオ」はMVNOとして初めてauの通信網を利用した事業社です。ガジェットオタクを中心に第一次格安SIMブームが起きた際に、docomo系MVNOのみしか市場になかった状態の時に、auの回線を使ったMVNOとして登場し、多くのユーザーを当初から集めていました。
今でもau系MVNOとしてはUQ mobileと双璧をなす代表的なMVNOになっています。
またdocomo回線の提供も2015年8月から開始し、これも現在docomo系MVNOの中でもトップクラスの品質と安心感を提供する「ベスト」なMVNOの一つになっています。
mineoのここが良いところ
- プランが豊富で機能もdocomo系MVNOに対抗
- docomo網とau網の2種類の回線を提供、さらにデータ容量などをファミリー間かつ異なる回線種別間で共有可能予定
- iPhoneに対応しサポート情報を随時ブログで更新
- 速度状況が良く、万が一に低下してもすぐに復活に向けて取り組みを開始してくれる
- プリペイドSIMあり
ダメなところ
- au系回線は速度がUQ mobileに敗北
- iPhone対応は公式的ではなく、iOSのアップデートを慎重にする必要がある
mineoのプランはどう?
mineoもデータ通信のみのプランと音声契約を付随させた2種類のプランに5つのデータプランを選択できる合計8種類のプランからなっています。
au系MVNOは今のところ共通でSMSが無料で使えるため、基本機能に含まれています。逆にdocomo系の場合はSMSが有料となるので注意しましょう。
500MB,1GB,3GB,5GB,10GBの5つのデータプランが選べます。規制後の速度は200kbpsです。
1GBと3GBの料金差がわずか200円しかないため、普通に使おうと思ったら3GBのプランからの選択が最も良いでしょう。
500MB | 1GB | 3GB | 5GB | 10GB | |
シングルタイプ(データのみ) | 700円 | 800円 | 900円 | 1580円 | 2520円 |
au系デュアルタイプ(音声+データ) | 1310円 | 1460円 | 1590円 | 2190円 | 3130円 |
docomo系デュアルタイプ(音声+データ) | 1400円 | 1500円 | 1600円 | 2280円 | 3220円 |
プラン内にメールアドレス(@mineo.jp)を1つ使えるオプションが入っているため、使いやすさのある仕組みになっています。
ただしこのメールアドレスはUQと違ってキャリア間ではPCメール扱いになります。
機能では繰り越しオプションやデータ通信量のON/Offをアプリで調整できるというMVNO一般的な機能がある他、家族間での割引サービスやパケットシェア機能に加え、全く別のユーザーとパケットをシェアリングしたりできるmineo特別な機能をそろえており、他社と比べると機能性の充実度では圧倒する内容になっています。
mineoのデメリット
まずは良い評判を並べる前に、mineoの悪いところを確認しておきましょう。個人的には今MVNOを選ぶならmineoがまず第一候補群に入ると感じているほどに良いMVNOなのですが、良い部分ばかりではないのでそこをまずはしっかり理解してもらおうと思います。
最低利用期間は撤廃もMNP手数料で縛り
mineoの最大のデメリットとしてこれまであったのは、データプランでも発生した1年間の解約金がかかってきたことです。音声プランでは普通のことですが、データ回線でもかかってきたことでmineoは気軽には契約できないMVNOでした。
ところがこの解約金は無事撤廃されることになり、契約のしやすさは上がりました。データプランで解約金というのは契約に際しての大きな障害になっていましたが、これがなくなったことは嬉しいことでしょう。
ただし解約金が撤廃された一方で、音声契約回線をMNPするときにMNP手続き事務手数料が11500円まで上がりました。これはMNPする人にしか関係ありませんが、もしもmineoの契約をMNPで転入してきた人が、別のMVNOなどにまたMNPする場合には、このMNP事務手数料が結局12ヶ月間付きまとってくることになります。
これはこれからmineoにMNPを予定している人にはデメリットでしょう。電話番号をそのままに使いたい人にとっては、万が一mineoに不満を持った時にMNPでの転出が前回の解約料よりも高額な違約金を支払わなければいけなくなりました。
au回線側の速度がUQ mobileより遅い
mineoもう一つのデメリットは、au系回線側がUQ mobileよりも速度が常に遅いという点です。
一般的なdocomo系MVNOに近い速度は出せますが、数少ない同じau系MVNOとの比較では明らかに速度が出ません。明確な比較対象がありながら、それに確実に負けている速度しか出せないのは若干ネガティブな要因です。
特に昼は遅さが目立ち、低速回線化してしまいます。たまに高速な時もある一方、極端に遅くなるときもあり、その安定感のない速度状況にはユーザーの不満がでています。同じau系MVNOのUQ mobileが、KDDIの実質的なグループ企業ということで真逆の高速安定回線を提供しているのと比べると、その品質の違いは明らかと言えるでしょう。
このデメリットはdocomo系回線を使えばよいだけの話に思えますが、au系MVNO回線は低価格なハイスペック白ロムを使えるというメリットがあるために、端末を含めた格安運用を考えている人にとってはau系MVNO回線の速度状況があまり改善しないというのはデメリットになるでしょう。
メリット
プランの数や繰り越し機能などは豊富
メリットと呼べる点はdocomo系au系含め、他社と比較したときに恐らくはNo.1と言えるであろう機能性の高さと十分に選べる数のプランがあることです。。選べるプランの数やサポート系の機能が多く、この点はMVNOとして大きな特徴です。
プランが5つのデータプランから選べる点、そして余ったデータ通信量が翌月に繰り越して使える点、アプリによるデータ通信の管理が簡単な点、その他IP電話サービス&サポートを行っている点など、機能の部分に関しては手厚いものが感じられます。更にここ最近も立て続けに機能を追加し、最近ではパケット通信量に関する機能の充実さが目立っています(ファミリーシェア、パケットシェア、フリータンク等)。
こうしたデータ通信量の繰り越しと2回線以上のmineo回線間のファミリーシェア、他人とのパケットシェアやギフト系の機能は利用方法によっては相当に便利で効率的な運用が可能になるでしょう。高い利便性と共に使える機能が豊富なのはmineo特有のメリットです。
また200kbpsの低速回線にはバースト転送機能が含まれており、200kbpsとはいえ初速が速く、それでいて常時200kbpsを維持する回線機構を持っているため、低速時でも快適です。例えば楽天モバイルやFREETEL SIMなんかだと、低速回線が同じ200kbpsになってはいるものの、実効速度では120~180kbps程度の少し落ちる速度になっており、常時200kbpsを出そうとしているmineoよりも明らかに使い勝手が悪いです。
ユーザー想いの真摯なMVNO
mineoの最大のメリットはMVNOとしてユーザーにしっかり対峙しているという点でしょう。
これは下記の記事内でより詳しく記述していますが、mineoはMVNOの中でもユーザーのことを考えて行動してくれる数少ないMVNOです。
格安SIMはどれを選べばいいか 速度の他にMVNOとしての信頼性やポリシーを判断材料にすべし
mineoは比較的速度が良いMVNOです。docomo系au系共に最低限の満足度・快適度は常に提供してくれます。ですがMVNOを選ぶ場合はこの速度というものは参考にはなるものの、絶対的な指標には出来ません。
その理由はMVNOはユーザーが増えれば必ず速度が低下してしまう回線だからです。
なので速度が一時的に良いかどうかよりも、遅くなった時にすぐに上昇のための対処をしてくれるかどうかという、「ユーザーのことを考えた姿勢」をもったMVNOを選ぶのが大事です。
そしてmineoはこの「ユーザーのことを考えた姿勢」を持った数少ないMVNOであり、度々速度が落ちることはあるものの、その都度素早い対応力で回線状況の改善を図ろうとしています。
よく新興のMVNOが登場した後は速度が良いという評判が生まれますが、そうした評判を聞いてユーザーが増えた際にはほぼ確実に回線速度が低下します。そのMVNOの良し悪しが試されるのはまさにこの速度が落ちてからです。サービスイン時にはどこのMVNOも速いのは当たり前ですが、それが落ちた時にどれだけ早くかつての状態に戻せるかというのは、MVNOを運営するにあたりその事業者の姿勢が見える部分です。
対応が遅いMVNOは如何に速度が良かった時期があっても、信頼には至らないでしょう。mineoの場合はその点では非常にユーザーの利便性に直結する速度の部分も良く考えており、公式のコミュニティサイト上で設備増強のスケジュールを告知するなどの、情報提供を行うことが多く、信頼できて安心できるMVNOとして非常に稀有な存在になっています。
auにはない対応スマホやWi-Fiルーターを販売
mineoのその他の良さとしては、単純にauのお古な端末を使った格安スマホを提供するのではなく、国内のメーカーで海外向けに低価格スマホを販売している企業のスマホを、auおよびau系MVNO向けにチューニングして販売しているところも挙げられるでしょう。
これは特に白ロムしか選択肢の無かったau系MVNOにとっては、新しい選択肢を与える取り組みであり、本体の高さは目立つものの今後のau系MVNOを使った格安スマホの市場展開を考えると好意的に捉えることの出来る販売方法です。
セット端末としてmineoがau以外から調達したのは京セラの「LUCHE」とNECのモバイルWi-Fiルーター「Aterm-MR03LE」です。
LUCHEは33,600円のスマートフォンです。価格はミドルからハイスペック級のスマホと同額ですが、スペック自体はローエンド、ミドルエンドに分けられるレベルのスマホです。RAMが1.5GB、CPUがSnapdragon 400とミドルエンド並みの性能は根幹にはあるのですが、解像度がqHDと低くてローエンド級の低解像度にしかなりません。
特殊な通信方式ではあるものの、オリジナルの端末を用意する姿勢は評価出来るでしょう。スペックと価格が合わないため、auの白ロム運用やMR04LNの最新ルーターを購入したほうが結果としてはいいですが、姿勢は今後のMVNO活動に期待の出来るものではあります。
au系回線でのiPhone対応について
2015年7月、IIJmioの技術部がiOSにおけるAPN設定とau系MVNO間にある問題点を発掘、au系MVNOでも通信が可能になるAPN設定の仕方を発見しました。これによってこれまでiOS8以降で不可能だったau系MVNOでの通信が可能になり、mineo・UQ mobileでのiPhone利用が可能になりました。
しかし正常に動作するのは今のところiPhone 6と6 Plus、そしてiPadのみとなっており、iPhone 5sと5cでは若干の不安定さが観測されているようです。
この不安定さが原因で、mineoでは公式にiPhoneおよびiOSをサポートしているとはアナウンスしていません。あくまでも公式に運営するブログにて動作確認を報告するにとどまり、実験的なAPNを配布しているという形式をとっています。
全てのiOSスマホが利用できるという訳ではありませんが、今回配布され始めたAPNを使えば、mineoでもiPhoneが使えるようになっています。
他社との比較
他社との比較ではかつてはUQ mobileが中心でしたが、docomo系MVNOも扱ったことでより多くの事業者と比較できるようになったでしょう。
多くのMVNOと比較した場合、mineoは決して速度で優れるMVNOではありません。それは速度比較の記事なんかを見てもらえればわかります。大多数のMVNOには速度で勝るものの、速度が大きな特徴のFREETELやUQ mobile、あるいはY!mobileといった回線には敵わないです。
ただmineoが勝負するところは直接的な速度ではありません。メリットの部分でも触れているように、mineoはユーザー目線を持った信頼度の高いMVNOという点が評価できる一番のポイントになり、速度が遅くなっても早いタイミングで回線を復活させてくれるという強みがあります。
この回復力というのは他社で追随しているようなところは現状無く、mineoが唯一持ち合わせているメリットです。
ここはもはや普通のMVNOではmineoとは比較にならないポイントです。更にはユーザーの利便性を向上させるパケットシェアに関連した各種のオリジナル機能もあり、他社と比べても「選ぶべき格安SIM」としてmineoは定義付けられると思います。
ネットの評判
ネット上では当初契約時の条件にしていたデータプランでも1年縛りの対象というデメリットが、今でこそ撤廃されていますが尾をひいており評判を悪くしている原因になっています。またかつてのiOS8アップデートによってau系MVNOが不通になってしまった時の対応の遅さもそうした悪い評判の原因になっているでしょう。
ただ現在のmineoはそうした過去の過ちを反省してか、マイネ王というコミュニティサイトを設立し、ユーザーとの直接の交流をしてよりMVNOとしての対応の早さやクオリティの向上に力を入れています。そして今ではその技術力や情報発信の細やかさから、特にスマホが好きなガジェット系のオタク系ユーザーからIIJmio以上の高い評価を得るようになりました。
今MVNOの技術的な部分でユーザーに詳しい説明をしているのはIIJとmineoぐらいで、更にそこから速度改善などの実利用の快適さを向上させる姿勢をもったMVNOとなるとmineoしかない状態です。
時々回線の遅さがTwitter上で話題になることはあるものの、mineoを信頼しているユーザーが多いためか他社の速度低下時とは違って割と優しい対応が目立っています。他社だと速度が落ちてくると罵詈雑言が出てくるのですが、mineoだと比較的長い目で見ようというしっかりしたユーザーが多くなっています。それだけ今は評判を回復し、なおかつ多数のMVNOの中でもかなり安心できる事業者であるとの評価に変っています。
au回線は白ロムと組み合わせるのが一般的
mineoと組み合わせるスマートフォンについてですが、docomo系MVNO回線を選んだ場合には割と好きな機種と組み合わせて良いです。
この後説明するau系とは異なり、SIMフリースマホやdocomoの白ロムでもどちらでも快適に利用することが可能になっています。
ただ回線品質の高いMVNO格安SIMですから、なるべく性能の良いスマホと組み合わせたほうが回線の良さを発揮できるでしょう。
au系MVNO回線はUQ mobileにおいても同じことが言えますが、au版mineoを使うにあたっては格安スマホのセット契約を直接mineoでするよりも、auの白ロムとmineoを別個に契約・購入するほうが合理的です。
というのもmineoの格安スマホセットで購入する価格で、もっと性能のいい白ロムを今は購入できてしまうからです。
その筆頭がHTC J butterfly HTL23でしょう。この機種はUQ mobileの記事でもお勧めしましたが、今auの白ロムとしてもっともコストパフォーマンスがいいです。Snapdragon801とRAM2GB、FullHDの高画質ディスプレイは、これから長く使っていく中でほぼ全ての利用をハイパフォーマンスで処理してくれます。先ほどのLUCHEよりも安くてスペックは2,3倍は上の内容です。
au系回線を使うスマホを持っていない場合は、安易な格安スマホ契約ではなく、この白ロムとの組み合わせをまずは考えた方がいいでしょう。
結論:おすすめか否か
結論としてこのmineoは契約に値するか否かを考えてみたいと思います。
まず速度に関しては安定して高速状態を維持してくれ、たとえ遅くなったとしても素早い対応力を見せてくれる安心感があります。この安心感を感じさせてくれる他社のMVNOは正直存在しないため、長く使っていこうと考えるMVNOとしては一番良い選択肢かと思います。
過去には技術力不足や対応力の低さを見せていますが、現在では各スマートフォンの動作検証を真っ先に公開するなどMVNOに対する意識が全く異なっています。
特にau系MVNOの鬼門であるiPhoneをはじめとしたiOS端末への技術的なアプローチというのは、IIJと共同作業というところはあるものの、一般コンシューマ向けの情報発信はmineo頼りという点があります。UQ mobileはiOS問題にほぼ沈黙し触れないようにしていますが、mineoは困難ながらも積極的に取り組んでいます。
高い技術力と共に意識の改善が加わったことによって、今MVNOの中では一番ユーザーのことを考えた運営をする格安SIMを提供してくれているのがmineoと言えます。
はっきり言って本気で格安SIMの利用に切り替えようと考えている人は、このmineoを真っ先に選択肢に入れておくべきです。そしてこのmineoを選んでも決して後悔する結果にはならないでしょう。
安心して使えるMVNOです。
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