SIMカードは相性によって「使えない」パターンあり SIMフリースマホに手を出す前に知っておくべき契約SIMに関する知識

MVNO格安SIMやSIMフリースマホの更盛によって、キャリア回線とスマホ端末にそれぞれ縛られる使い方というのがこの1年ほどで大きく変化しているような気がします。

今回はそんな回線と端末の組み合わせの中でも、SoftBank回線をSIMフリー機で使ったり、au回線をSIMフリー機で使ったりと、これまでのMVNO+SIMフリースマホという組み合わせとは異なる方法でSIMカードと端末の組み合わせを行い運用するつもりの人へ向けて、各種SIMカード・回線とスマホ端末との様々なパターンの相性についてを説明して行こうと思います。

キャリアの契約回線や特定SIMカードには、一部で限られた方法でしか通信出来ないものが含まれています。昨今のSIMフリースマホは万能で何でも解決できる、という風な取扱いがされて初心者の人は勘違いしやすいのですが、SIMカードの契約内容や回線状況によっては、SIMフリースマホはもちろん同じキャリアから発売されたスマホでも利用できないものがあります。そのためSIMカードとスマホを用意しても使えない組み合わせのパターンを複数今回は解説していきます。

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FOMA契約のSIMカードとLTE端末

ここ最近増えている家電量販店のSIMフリースマホコーナーで遭遇するケースとして、そこの店員さんが語ってくれた対処できない問題として「FOMAのSIMカード」とSIMフリースマホを利用しようとするケースというものがあります。

docomoのガラケーの契約や古い3Gスマートフォンを使っている契約回線を、SIMフリースマホで使おうとするユーザーがやってくるのだそうです。

現在家電量販店のコーナーでまともに売られているSIMフリースマホのほとんどは、安いものでもLTEに対応したスマートフォンとなっています。実はこのLTEに対応したスマートフォンというのは、たとえSIMフリースマホでもFOMA契約のSIMカードでは利用できません。

ガラケーの料金のままSIMフリースマホを買えばスマートフォンが使えるだとか、docomoの機種変更が高いからSIMフリースマホで代用という考えでやってくるようですが、どちらも不可能な内容になっています。LTEに対応したスマホをdocomoの契約で使うにはXiと呼ばれる種別のプランへ変えなければなりません。

どうしてもFOMAの契約のままSIMフリースマホを利用したいなら、価格は安いものの性能の落ちる3Gのスマホを購入しなければなりません。ただこれらは恐らく古いドコモのFOMAスマホよりも性能的に問題のあるものが多いため、得策ではありません。また一部のLTEスマホならばネットワークモードを3G OnlyにすることでFOMAのSIMカードも使えるようになりますが、全てが全てこの方法で使えるわけではありません。

FOMAの契約SIMカードにおけるSIMフリースマホ運用は、今市場に出ている売れ筋のSIMフリースマホではまず対応しておらず、大きく性能の下がる型落ちモデルでしか無理となっています。

FOMA契約中の人は、FOMAからの契約で優遇された機種変更スマホを契約するなどしたほうが結果的にお得になるかもしれません。

 

SoftBankのSIMカードとAPN

続いてはSoftBankのSIMカードに関する複数の問題点です。先ほどのFOMA契約カードを持ってくる人に次いで多いのは、SoftBankの契約カードを持ってくる人という話を聞きました。

SoftBankの場合、対応するLTE Bandがグローバルでもメジャーなものと被っているため、海外メーカーの多いSIMフリースマホと非常に相性が良いです。ただし相性が良いからと言って、SoftBankのどんな契約SIMカードでもSIMフリーで使えるというわけではありません。

SoftBankのSIMカードの内、比較的簡単に使いやすいのはiPhone 5以降でLTE契約を結んだ「黒SIMカード」です。「黒SIM」というのは俗称ですが、SoftBankのiPhone契約に使われているSIMカードの色のことで、この色のSIMカードならば比較的SIMフリースマホや他社のSIMロック解除スマホで使いやすいです。

その理由は、iPhoneのLTE契約回線のAPN設定は、今のところiPhone5~6sまで共通のAPNになっており、この設定をそのままSIMフリースマホ等に対応させれば問題なく通話やデータ通信が利用可能となっています。

問題はiPhone以外のSoftBankスマホを使っている人たちが、他社のスマホで回線を利用する場合に出て来ます。

 

SoftBankのiPhone以外の契約、つまりAndroidスマホの契約のほとんどが、APN設定においてiPhoneのように簡単には設定できない仕組みになっています。

Androidスマホの場合、そのSIMカードでデータ通信するために必要なAPN設定の値が、契約ごとによって異なるという他社では見ることのできない不思議な設定の仕方をしており、個別に契約に合ったAPNを設定しないとその契約SIMカードを他社スマホでは利用できません。そしてこの個別のAPN設定は通常の方法ではユーザーには判別不能となっているため、事実上他社スマホでこのSIMカードを使ってのデータ通信ができないということになります。

一応特殊なアプリによってAPNを抽出することは出きますが、正攻法では不可能という点で非常に不親切かつ使いづらいSIMカードの仕様になっています。(APNの設定方法は別記事で)

そしてこのAndroidのSIMカードは、同じSoftBankのスマホでもAndroid契約SIMをiPhoneに差し替えただけでは利用できません。同社内のスマホでも使い回せるのはAndroidのみだけで、iPhoneでAndroid用SIMカード、またはAndroidでiPhone用SIMカードを使うためには他社スマホと同じようにAPNの入力や構成プロファイルの作成が必要になります。

 

auのSIMカードと通話の規格

auのSIMカードについて特徴を次はまとめてみます。

まずauの3Gのみの契約SIMカードの場合、SIMフリースマホや他社スマホ、SIMフリーのフィーチャーフォン(ガラケー)でも使えません。これはauの3Gがそもそも世界的にもマイナーな部類に分けられるCDMA2000という規格で通信・通話を行っているからです。

この影響で3GもそうですがLTEに対応したSIMカードでもSIMフリースマホでは基本的に通話が出来ない仕様になっています。auの通話が出来るスマートフォンは、auから発売されたモデルのみが現状で対応しているのみです。VoLTEによってこの状況も変わりつつありますが、しばらくはこの法則を知っておくようにしましょう。

またauのLTE契約SIMでも一応はSIMフリースマホでも使えますが、通話はVoLTE対応でないと出来ませんし、LTE Bandも1つぐらいしかauの周波数に対応してないスマホがほとんどなので、SIMフリースマホで使う意味はありません。

唯一iPhone 6以降は別です。

 

VoLTE対応MVNO専用SIMカードとmineo

auの回線を利用したMVNOの場合、VoLTE対応によって通話の問題を解消できる期待が高まっています。au系MVNOを提供しているmineoではVoLTE対応のSIMカードを用意し、CDMA2000に未対応のスマホでもLTEデータ通信網を利用した通話を可能にして、より幅広い利用可能スマホの選択肢を広げようとしています。

ただしこのVoLTE対応SIMカードはau用とMVNO用という分け方がされるようになったことで、au白ロムとの関係性がこれまでと異なる内容になってしまいました。今まではMVNOのSIMカードでも、提供元キャリアのスマートフォンを中古などでも普通に使えていたのですが、これがauのMVNO用VoLTE対応SIMでは普通には使えなくなってしまいました。

MVNO用VoLTESIMでは、auのVoLTE対応スマホのSIMロックに引っかかってしまい、これまでのように白ロムを買ったらすぐにMVNOで運用できる形にはなっていません。VoLTEスマホでVoLTE用SIMを使うには、白ロムが購入されてから180日後に可能になるSIMロック解除をしてからでないと使えなくなりました。

そのためMVNO用VoLTESIMを発行しているMVNO(2015年11月現在でmineoのみ)のVoLTEプランを使う場合、最新のau VoLTEスマホは利用できないということになります。

 

IMEIロック系・GL07Sなど

続いてはSoftbankグループで見ることの出来る特殊なSIMカードの仕様として、IMEIロックがされているものというのがあります。

特にEMOBILE時代の回線はこれに当てはまるものが多いです。Nexus 5を5GBのデータプランで契約できた4G-S契約や、GL07SなどのLTEプラン契約です。Nexus 5の契約についてはもうIMEIロックは撤廃されていますが、GL07Sの回線については不明です。

これらの契約は格安スマホが流行る前から格安スマホ以上に安い料金で使えていたプランです。未だに契約を続ける人も時期的には多いものと思います。これらのプランで契約したSIMカードは、SoftbankがIMEIで通信している端末を判別して、契約したNexus 5やGL07Sのもの以外を察知した場合に、データ通信を出来なくするIMEIロックをかけていました。

IMEIロックがかかっている契約およびSIMカードでは、たとえ他社のロック解除済みスマホやSIMフリースマホで正確にAPN設定を行っていたとしても、通信することはできません。格安SIM並みに安いキャリアの契約を手に入れ、それをSIMフリースマホで利用したい場合には事前に利用に問題がないかを確認しておきましょう。

 

以上のようにSIMカードによって異なる他社スマホ・SIMフリースマホでの利用に関して問題点のある契約についてまとめてみました。

SIMフリースマホについて期待値の大きすぎる報道がなされる昨今ですが、このようなSIMカードの持つ相性問題などを把握しておかないと、利用に困難な状況に陥ってしまう可能性があるため注意が必要です。特にキャリア回線をSIMフリーや他社のロック解除スマホで利用する場合には注意が必要となります。

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