MVNO格安SIMにおいて大容量のデータ通信を行おうとした場合、主に選択肢は2種類あると思います。
1つはデータ通信量が無制限で使えるプランのSIM契約です。これならばそもそものデータ通信量を気にせずに利用することができ、大容量に通信をしても規制されることはありません。ただし問題点としては容量に制限がないかわりに、速度は常に3Mbps以下ぐらいに抑えられていて、高速通信がどうやっても出来ない環境になってしまいます。
また無制限SIMには隠された規制が一部のプランにあります。b-mobileは通信の最適化による画像や動画画質・コーデックの変化による劣化、U-mobileは3日制限が設けられていて短期間に使いすぎると無制限SIM契約なのに速度規制されます。そのため、使い物になるのは事実上ぷららモバイルLTEの定額無制限プランのみというのが現状です。
もう1つの選択肢は10GB以上の大容量データ通信プランを契約することです。こちらならば上限のデータ通信量こそあるものの、速度は無制限SIMよりも高速になり常に快適な通信環境を手にいれることができます。
最近では10GBでも3000円を下回る料金で出てきており、無制限では使えないものの十分すぎる大容量のプランを格安な料金かつ高速通信で使えます。
今回の記事ではこの10GBなどの大容量プランを有する格安SIMの中で、契約すべき回線というものの選び方を決めてみようと思います。
大容量データ通信量のプランを決める基準
大容量のプランを出しているMVNO格安SIMの中で、どれを一番に選べばいいのか。その選択に至るまでの基準はどんなものを比較とすればいいのか、この点について考えてみたいと思います。
といってもこの点は普通の格安SIMを選ぶ流れと変わりません。「速度」が1つの大きな指標であることは変わりません。無制限ではなく上限のあるプランなので、速度もしっかりしたMVNOを選べば体感出来る快適さは無制限のSIMよりも期待できます。そして10GBプランのような大容量プランになると、料金も比較対象になります。3GBの標準プランではMVNO間においてそれほど差はありませんが、これが5GB・10GBとデータ通信量の多いプランになると、料金の違いは数百円単位で変わってきます。
普段はあまり比較対象にしていませんが、大容量プランでは料金も違いを産み出す基準の1つになります。
10GBプランの料金の比較
それではさっそく大容量プラン、今回は目安として分かりやすい10GBプランの料金の比較を行ってみましょう。
まずは10GBプランを提供するMVNOについてです。10GBはもはや一般化したデータ通信量になっており、数多くのMVNOが提供しているプランです。マイナーなMVNOを含めば多くの10GBプランがありますが、ここではある程度の知名度のあるMVNOを中心に比較対象にしてみようと思います。
- IIJmio
- DMM mobile
- NifMo
- BIGLOBE
- 楽天モバイル
この辺りがメジャーなところでしょうか。提供前のfreetelのプランなども開始されれば入れられると見て混ぜています。これらの料金と、後はどのような機能が使えるのかを表にしてみました。
10GBプラン | 料金 | 機能 |
---|---|---|
IIJ | 2,560円 | ・バースト転送機能・データ通信量繰り越し機能・シェアプランを契約可能 |
DMM | 2,250円 | ・バースト転送機能・データ通信量繰り越し機能・シェアプランを契約可能・DMMポイントが10%還元 |
NifMo | 2,800円 | ・NifMoバリュープログラムで料金が安い・ISP割で200円引き・データ通信量の繰り越し
・Wi-Fiスポットあり |
BIGLOBE | 3,790円 | ・Wi-Fiスポット付き・高速通信のON/OFFが可能・データ通信量の繰り越し機能・ISP割で200円引き |
楽天 | 2,260円 | ・データ通信量繰り越し機能・高速通信のON/OFFが可能・初月無料 |
freetel | 2,470円 | ・freetel独自運用のL2接続・10GB固定ではなく、従量制プラン・データ通信量が少ない時は料金が安くなる |
ワイヤレスゲート | 5,490円 | ・SMS機能付き・ワイヤレスゲートWi-Fiスポットが利用可能 |
機能の充実度で回線SIMとして実用性の高いのはIIJグループでしょう。これにBIC SIM契約だとWi-Fiスポットが加わります。NifMoと楽天モバイルは、SIM単体ではなくて買い物・ショッピングを関連サービスでする事で、特典のつくメリットが存在します。
料金では「業界最安値」を標榜するDMM mobileが最も安いです。品質面でもIIJ回線を使っているため、画像やファイルの圧縮もなく、通信が途切れる事なく使える品質を最安値で使えます。
次に安いのは楽天モバイルで、機能面ではバースト転送以外ではほぼDMMと一緒です。音声通話プランを契約することができれば楽天市場でのネットショッピングのポイント増加量が2倍にすることができます。DMMポイントよりも使い勝手が良いと言えるでしょう。料金も10円しか違いませんので、ほぼ最安値とも言える存在です。
次にはIIJmioです。ほぼ同じ回線でサービスの追加がされているDMM mobileのほうが安いため、運営会社の名前が気にならないならばDMMで良いでしょう。
続いてはfreetelですが、こちらは従量制の形をしており、最初は500円で料金がスタートします。そのあと使ったデータ通信量の分だけ料金が上がっていくしくみです。まだサービス開始前のため、速度の比較はしていません。サービスが始まってから詳しい速度などを検証しようかと思います。
NifMoは最安値から500円以上高額になってきます。NifMoは大容量データ通信量のプランが他よりも高めですが、NifMoバリュープログラムによって通信料を下げることが出来るため、このサービスを使ってもらうための高額設定ということになるでしょう。NifMoバリュープログラムをうまく使えば、DMM mobile以下の料金で使うことも不可能ではありません。額面上は高いものの、実は最安値になる可能性を秘めた契約です。
次はBIGLOBEなのですが、BIGLOBEはどうやら料金プランの面でもはや他社との競争を放棄したようです。3000円以上と他社MVNOに比べて高く、機能もそれほど目立ったものはありません。それでいて後述しますが速度にも難のある回線であるため、BIGLOBEを選ぶ意味というのは非常に薄くなっています。
最後のワイヤレスゲートWi-Fi+LTEの10GBのプランは5450円と大容量と言えども高額過ぎる料金になっています。8GBまでのプランなら多少料金的にはマシになるのですが、10GBのプランではせっかくの格安SIMの要件を満たしていません。
10GBプランの速度比較
料金ではDMM mobileが最安ではありますが、これだけで「DMM mobileを選びましょう」という話にはなりません。
容量や料金だけで格安SIMは選んではいけません。最初に書いたようなbmobileやUmobileのように、単純な料金や容量の比較だけでは回線の品質や速度というものがわからず、安いものの快適でない回線というものを契約してしまう可能性もあります。
なので回線の状態、特に速度は料金・容量よりも時に比較の基準としては重視しなければなりません。というわけで現在所有している回線の中から速度比較出来るものの数値を出してみましょう。
このように最も良い結果を出したのはNifMo、その他のMVNOではほぼ目立った成績が出ず横並びではあるものの、楽天モバイルが昼などに良好なので2位あたりにつけられるでしょうか。続いてIIJ・DMMの同一MVNOグループがあり、最も良くない結果としてBIGLOBEが入ってくることになります。ついでの速度比較の一環としてOCNモバイルONEが混ざっていますが、10GBプランという枠組みにおいてはOCNのプランは速度上限500kbps止まりなのでこの結果の速度に正確性はありません。

ダウンロード速度 | 12時 | 17時 | 20時 | 22時 |
---|---|---|---|---|
BIGLOBE LTE・3G | 0.37Mbps | 0.57Mbps | 0.47Mbps | 0.42Mbps |
0.34Mbps | 0.46Mbps | 0.72Mbps | 0.41Mbps | |
DMM mobile | 0.59Mbps | 1.72Mbps | 2.53Mbps | 2.07Mbps |
0.67Mbps | 1.44Mbps | 2.56Mbps | 3.70Mbps | |
IIJmio | 0.41Mbps | 3.49Mbps | 3.01Mbps | 1.75Mbps |
0.42Mbps | 2.38Mbps | 2.97Mbps | 1.07Mbps | |
NifMo | 2.07Mbps | 11.82Mbps | 6.08Mbps | 17.53Mbps |
1.80Mbps | 13.75Mbps | 7.91Mbps | 13.54Mbps | |
OCNモバイルONE | 0.56Mbps | 2.11Mbps | 1.31Mbps | 2.45Mbps |
0.45Mbps | 2.26Mbps | 1.86Mbps | 2.37Mbps | |
楽天モバイ | 2.07Mbps | 1.95Mbps | 2.56Mbps | 7.52Mbps |
1.80Mbps | 2.09Mbps | 1.31Mbps | 6.60Mbps |
まとめ:料金・速度の比較からどれを選ぶべきか
というわけで料金や機能では他社と比較して劣っている部分が目立ったNifMoが、速度という評価基準を加えると途端に魅力的な格安SIMになりました。とはいってもそれでも料金は高めなため、DMMや楽天モバイルのようなある程度の速度が出ていて安い大容量回線も魅力的です。
この辺りのバランス、どこを優先するかというのは人それぞれだと思います。なのでここではどれが良いとは言わず、今回判明した結果を加えた比較表をまとめるだけに留め、その中から選んで貰う形にしました。
10GBプラン | 速度 | 料金 |
---|---|---|
中低速 | 2,560円 | |
中低速 | 2,250円 最安値 |
|
NifMo![]() |
高速 | 2,800円 |
BIGLOBE LTE・3G![]() |
低速 | 3,790円 |
楽天モバイル | 中速 | 2,260円 ほぼ最安値 |
freetel |
不明 | 2,470円 |
ワイヤレスゲート | 不明 | 5,490円 |
料金以外の部分へ目を向けた場合にはこうしたまとめ方が出来ます。料金比較のみだとDMMと楽天モバイルが選ぶ価値のある格安SIMではありますが、それ以外の部分、特に格安SIMの不満が出やすい速度という部分も選ぶ視点に加え入れると、また違った順位というのが見えてきます。
ここからの選び方は自分の運用方法で考えるのがいいでしょう。とにかく安くしたいというのか、それとも安さはある程度のレベルでいいからストレスの少ない体感速度を得たいのか、自分の要求を確かめた上で契約する大容量プランの格安SIMを選んでみてはどうでしょうか。
コメントを残す