プラスワンマーケティングが従来のfreetelブランドをFREETELとしてリニューアルしました。
これまでのMVNOサービス「フリモバ」は新規受付を停止、新ブランドFREETELのMVNOを、他社MVNE(U-mobile)に頼らず独自のL2接続に切り替えて運用を開始しています。
FREETELが目立つ点としては2つ。1つはMVNOとしての回線運用を切り替えたことによる、より自由な帯域調整・通信制御が可能になったということ。FREETELの社長曰く、この調節が可能になったことで従来のMVNOが抱える昼時や夕方以降の速度低下に関する問題を、FREETELの格安SIMならうまく制御できるとしています。
この辺りはまだ試されるような状態になっていないため、実際にそんなことができるかどうかはまだ未知数ですが、MVNOの速度低下に対して言及しその改善を明言したことは期待値を上げさせるでしょう。
もう一つは料金プランがとにかく安いということです。最安値では299円という非常に安いプランでの運用が出来ます。前の記事で紹介したファンダム支援SIMと同じく、プランは一つだけで使った分だけ料金が上がって行くという従量制に近い形をとっています。
FREETEL | データプラン | SMS付きデータ | 音声+データ |
---|---|---|---|
~100MB | 299円 | 429円 | 999円 |
~1GB | 499円 | 629円 | 1199円 |
~3GB | 900円 | 1030円 | 1600円 |
~5GB | 1520円 | 1650円 | 2220円 |
~8GB | 2140円 | 2270円 | 2920円 |
~10GB | 2470円 | 2600円 | 3170円 |
当初勝手に心配していたデータ通信量の制御の有無も、サービス開始と同時に使う分の上限を決められるようになっていると発表されため、制限付き青天井のようなことにはならないようです。この上限が可能なおかげによって、299円の200kbps回線という使い方も出来る格安SIMになっています。
ブランドを新調するというMVNOに対する本気度を見せているこのFREETELは、速度低下が常態化し始めているMVNOの中で期待したい会社となっています。
今回はこのFREETELについて、その実効速度を確認してみました。まだサービス開始直後ではありますが、とりあえずスタートの状態を見ておきましょう。
回線速度は当然良好
スタートしたばかりのMVNO、しかもL2接続ということで何処かのMVNOをMVNEにしているわけではないため、通信帯域は相当に余裕があるはずです。そのためこのタイミングの計測については速度がでてないとおかしいです。
この時点で遅いようだと、今後も期待することは出来ないわけですが、幸い今回の計測では以下の結果のように昼時でもしっかりとした速度を確認することができました。
当然これぐらいは出てもらわないと困る時期ですので、スタートとしては合格点でしょうか。
主要時間帯 | ダウンロード通信速度 |
---|---|
12:31 | 5.37Mbps |
18:51 | 10.01Mbps |
22:50 | 13.23Mbps |
23:28 | 5.81Mbps |
若干速度が心配な時間帯があることは不安ですが、昼夜共に速度が出ている点には評価を与えられるかと思います。ping値が綺麗に2桁なのは地味に印象がいいです。
200kbpsの速度に難あり
普通に高速通信の格安SIM回線としても使えるFREETELですが、もう一つの運用方法として200kbpsを299円で使い続けられるという運用方法もあります。これはDTIやワイヤレスゲートのワンコインSIMよりも更に安い料金で、100MBの高速データ通信量付きで使えるのですから、低速回線においてはスペック上は最も安くデータ通信量などの面でもメリットのある格安SIMです。
ところが。
残念ながらFREETELの200kbps回線は、mineoやOCNモバイルONEのように常に200kbpsを出すようにはチューニングされていません。感覚的には楽天モバイルのように130kbps〜190kbpsの間をウロウロする低速の中でも低速寄りな回線になってしまっています。
常時200kbpsの速度を出す回線と比較すると、ただでさえ遅い速度がより遅く感じられ、299円とは言え常用には足らない状態であるのを感じます。まぁ299円で使わなくなったdocomoの白ロムがネットにつながると考えれば安いものですが、もうちょっとまともに使おうとすると、200kbps回線の中でも品質は悪い方に分類されます。
299円で200kbps運用を予定していた人は、FREETELではちょっとストレスを感じやすい低速なので、ちょっと料金は上がりますが、ワイヤレスゲートの250kbps回線、実測では300kbpsを計測する480円回線を契約した方がいいかと思います。
体感としてのyoutubeとLINE MUSIC
この高速あるいは低速回線でどのような作業や楽しみ方が出来るのかということを一部の動画・音楽サービスで確認してみました。
まずはyoutubeを高速回線で視聴してみました。スマートフォン経由で様々な画質で読み込み速度を試してみましたが、720pのHD画質でも先読みしてバッファが溜まっているため、途切れなく読みこむ事が出来ています。
youtubeの高画質をこの体感で使えるのは快適と言っていい速度であるのは間違いないでしょう。高速回線での速度はスピードテストアプリに最適化されておらず、本当の実効速度として出ているのは間違いありません。
youtube含みブラウジングなどもサービスイン直後のこの高速側の回線速度ならば問題なく使えます。
問題は200kbpsとされる低速側の回線速度です。LINE MUSICを実験台にどれだけ低速側でも遊べるかを調べてみましたが、LINE MUSICの高音質(320kbps)、中音質(192kbps)はどちらも初期の読み込み・開始の時点で時間がかかり、数秒ごとに止まるのはもちろんとして、途中で通信自体が終了して以降再生されない状態に落ちました。
低音質ではようやく聴けるようにはなるものの、曲の開始にはかなり難儀しており、数回は止まる場面も出てきています。流石に止まった後の回復は早いのでなんとかなるものの、ある程度のピットレートが必要なストリーミングサービスでは困ることが多くなるかもしれません。
まとめ:スタートでは判断できず、出だし自体は好調
とりあえずFREETELの格安SIMは、出だし自体は好調であり、速度もお昼のものはMVNOの中でも高速な部類になるでしょう。U-mobileがMVNE元だったころよりも今のところは速度はあがっています。
しかしだからといってこのSIMをこれからお勧めできるSIMとして定義できるかと言うと違うでしょう。サービスが始まった直後の速度だけ見てお勧めするのはあまりにも無責任かつこれまでのMVNOの速度の転換を無視した行いです。とりあえずは高速が良く、低速が悪いという特徴が最初の検証では得られましたが、これはあくまでもサービスの初期の状態であり、あと3ヶ月は様子を見ないと普通は判断できないです。
もっと契約者が増えてから、または回線帯域を増やす設備投資が行われるであろう3ヶ月後以降からでないとお勧めだどうこうという判断は出来ないでしょう。とりあえず出だしは良い、ぐらいの評価しかまずは与えられないかと思います。出だしは良いのであとはこれがどれだけ続くかにかかってくるでしょう。
コメントを残す