「つながるMVNO、格安SIM」はどこか

プライベートなところで最近「繋がる」格安SIMやMVNOというのはどこかという質問を何人かの人にされました。

「繋がる」の意味がわからなかったためその意味を聞いてみたところ、「繋がるエリア」が良いのはどこか、「動画に普通につながる」のか、「速度がちゃんとでる」のか等いろんな意味が含まれた言葉であることがわかりました。

ただ単純にエリアで繋がるか繋がらないかということであれば、MVNOは大手のキャリアから回線を借りているため、docomoから借りているならdocomoのエリア、auからならauのエリア(注意点あり)で利用できます。

しかしこのエリアも対応周波数やau系MVNOの特殊性といった部分に目を向ければ、キャリアと同じエリアで使えるとは言えなくなりますし、「動画が見れる」や「速度が出る」といった「繋がる」という言葉の拡大解釈まで含めると適切な回答ではないでしょう。

そこでこの記事ではMVNOや格安SIMにおける大きな意味での「繋がりやすさ」というものについていろんな解釈から説明をし、その中で適したオススメの回線やスマホのセットというものもついでに紹介してみようと思います。

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繋がる:エリア

まず「つながる」という言葉をエリアで考えてみた場合、MVNO格安SIMの通信エリアはどうなっているのかを説明しましょう。

これは最初のこの記事について語った通り、基本的に回線を借りているキャリアのエリアがそのまま利用できるため、主にdocomoの場合はMVNOとキャリアの間に通信が利用できないエリアなどはありません。

一方でauから借りている回線は少し特殊です。auは3Gと呼ばれる主にガラケー時代に整備した通話・通信網があるのですが、通信を利用する場合にau内部で認証等のひと手間が必要になるため、MVNOではその3G回線を通信には使うことが出来ません(通話は利用可能)。そのためキャリアとしてのau本家の回線はLTEと3Gの両方の通信網を使えますが、MVNO格安SIMの場合にはLTEの通信エリアでしかデータ通信が出来ないというデメリットがあります。

auのLTEエリアはかなり広いのですが、それでも山の中やアウトドア系の観光地ではLTEが整備されず3Gしか使えないエリアがあり、au系のMVNO格安SIMは圏外になってしまいます。

このau系格安SIMの特殊性はちょっと覚えておいたほうが良いです。

 

対応周波数によって使えるエリアが多かったり少なかったり

エリア自体は基本的にMVNO格安SIMとキャリアでは、auの特殊性以外はほぼ一緒であるため、同じエリアで使えると特にdocomo系格安SIMで言えることが出来ます。

しかし運用の段階を考えると、エリアは同じだと言っても実際にはMVNO格安SIMを使ったスマホのほうが「つながる」エリアが狭いことがあります。

その理由は使っているスマホの「対応周波数」がdocomoやauのものと合ってないからです。

MVNO格安SIMと組み合わせるスマホとして、最近はSIMフリースマホも一緒に購入するという形が一般的になってきていますが、このSIMフリースマホの対応周波数というのはdocomoやauから正規販売されたものに比べて少ないという問題があるために「つながる」エリアが狭くなってしまうことがあります。

 

docomoやauのエリアは実はその繋がるエリアで使われている電波が場所によって異なります。例えばA駅ではBand1が展開されている一方、B駅ではBand19が展開されているという具合です。同じdocomoのエリアでも、展開しているBand(周波数帯)が場所によって異なっている仕組みになっています。

このBand(周波数帯)はスマホによって対応しているものと対応していないものがあります。そのためもしもスマホのスペックでBand1は持っていても、Band19に対応していない機種の場合は、docomoのエリアで使えるMVNO格安SIMを使っていても先ほどのB駅ではスマホが対応していないために圏外になって使えないということになります。

具体的な事例としてはauのiPhone 5問題がわかりやすいでしょう。LTEに対応したiPhone 5が日本で発売された時、auユーザーの間で圏外病が多発しました。これはiPhone 5とauのLTE Bandの間で一致するのがLTE Band1のみだったということ、そして3Gへの切り替えがうまくいかないという問題が併発して起きた事象です。1つのBandしか対応しないために、auがいくら当時広いLTEエリアを持っていても、使えたのは当時ごくわずかにしか展開していなかったBand1エリアだけという状態になってしまいました。

 

SIMフリースマホは対応周波数が日本向けにチューニングされていないものが多い

このauのiPhone 5問題はiPhoneが進化するにつれ対応周波数が増えたことで解決しましたが、現在はそこまで深刻ではないもののSIMフリースマホとMVNO格安SIMとの組み合わせで似たような問題が出るようになりました。

日本におけるSIMフリースマホは、主に海外で展開するスマホをそのまま持ち込んできているために、日本のキャリアのBandに合致しない製品が多くなっています。特にdocomoのFOMAプラスエリア、LTE Band19、auのPHS干渉Band1と18といったものです。

 

キャリアから発売されているスマホならばしっかり自キャリアと一致した周波数を使いそのエリアを100%利用することが出来るのですが、SIMフリースマホでは日本のマイナーなBandに対応していないことも多く、繋がるエリアはキャリアの70%ほど、ということも珍しくありません。

このようにMVNO格安SIM自体はキャリアのエリアをそのままに使えるものの、一緒に使うスマホによって繋がり具合が違ってくるという問題があります。

 

スマホのスペックでは性能に関わる部分に目が行きがちですが、この対応周波数というのもチェックしてみるといいでしょう。

LTE Band・周波数帯一覧 docomo/au/SoftBank/Y!mobile SIMフリー機の選び方

2014年12月17日

 

繋がる:速度

次に「繋がる」という言葉に含まれているであろう速度の問題について説明してみましょう。

例えば結構多くの人に質問されるのが、格安SIMでも「動画はみれる」のか、というものがあります。

ネット上で格安SIMについての評判を見ていくと、「動画が見れない」とか「動画が遅い」なんて反応を目にしやすいゆえの質問かと思います。

MVNO格安SIMでも動画は見れます。ただし「快適に見れる」のか「途切れ途切れで見れる」のかは格安SIMによって千差万別です。SIMを提供するMVNOによってこの動画がストレスなく見れるか見れないかが天と地ほどの差で異なります。

この動画の見やすさおよび各種ネットのサイトなどの見やすさは、MVNO格安SIMの「速度」がその繋がりやすさに関係してきます。要はこの「速度」が良ければ動画も見やすいし、ネットをしていてもストレスがありません。

 

速度はMVNO格安SIMによって全く違う状況

実はこの「速度」、先ほどのエリアとは異なってMVNOごとに本当に違いが生まれやすい指標でもあります。エリアは全MVNOで依存するキャリアとほぼ同じですが、速度はそのMVNOの事業者としての姿勢がダイレクトに反映されるため、「つながりやすい」MVNOと「つながりにくい」MVNOがハッキリと分かれます。

MVNOというのはユーザーに対してキャリアから通信回線を借り入れたものを分配することで成り立っているのですが、この時ユーザーの数と借り入れた帯域と呼ばれる通信回線のバランスが整っていないと、少ない通信帯域に多くのユーザーが接続することになり混雑を起こし、速度が遅くなってしまいます。

回線をより多くの量借り入れることが快適な通信速度で「つながる」ためには必要なのですが、この借り入れをせずに遅いままの状態で契約者数だけを増やしているようなMVNOがあり、そうしたところは遅い遅いと不満が噴出しています。

 

MVNO格安SIM選びを料金で比較はナンセンス

そこまでこの「速度」というものが重要とは思わない人もいるかもしれません。安く使えることが出来れば多少の速度の遅さぐらい、という風に考える人も多いでしょう。

ですが今MVNO格安SIMは多くのユーザーが毎月契約していく一方、解約の数も非常に増えてしまっています。

そしてその解約に至る原因というのが料金に対する不満ではなく、主に速度に対する不満というものが占めています。

料金プランが不満だから解約するという人は本当に少ないです。何故ならば今やどのMVNO格安SIMも確実に安いプランが存在し、それらのどれを選んでも節約やスマホ代の削減という目的は果たせるからです。料金に対して格安SIMはその名の通りの存在になっており、不満をこの部分で感じるというMVNOはありません。

 

一方で最大の解約要因となるのが「速度」です。これはMVNO格安SIMを選ぶ基準としても非常に大事な要素になっており、料金プランよりも何倍も吟味しなければいけない点です。ここを良く調べないと「つながらない」格安SIMを使う羽目になってしまいます。

よく格安SIMを比較しようとして料金を比較対象にする人がいますが、これはハッキリ言ってナンセンスです。エリアも同じ、料金プランも大きく変わり映えしない、しかし速度ではMVNO間に大きな差があるために、ここをチェックすることが結果として「つながる」格安SIMを得ることが出来ます。

 

では速度の良いMVNO格安SIMをどう判断するか

ということでここまでのまとめを一旦すれば、対応周波数に広く対応したSIMフリースマートフォンを購入した上で、MVNO格安SIMは速度の出る事業者のものを選べばいいということになります。

ただし、SIMフリースマートフォンについてはスペックを見ればわかるものの、速度が出る格安SIMというのは商品ページなどを見てもわかりません。この速度の判断を毎月スピードテストアプリを用いて計っているのが当サイトの以下の記事で、こちらを見ていただければ、今一番速度が出ている格安SIMというのがわかります。

MVNO格安SIMの速度比較 12月 IIJmio/mineo/楽天モバイル/FREETEL/OCN/BIGLOBE/DMM/UQ mobile他

2017年12月10日

しかしこれを見てその月だけ速度が出ているSIMカードを選ぶのも早計です。何故ならば格安SIMの速度は毎月あるいは毎日変化しているもので、速度を良くする帯域増強施策を行わない限りはほぼ確実に下がる一方になります。

 

MVNO格安SIMを速度で選ぶことは重要な一手である一方で、その速度がその場限りのものを選んでも仕方ありません。重要なのは速度を継続的に出してくれること、そして速度が遅くなっても対応が早いことが重要視されます。

また一部のMVNOではスピードテストの結果だけを良く見せて、実際の通信速度では制限が多いという、もはや信頼性のない事業者というものも出てきており、こうしたユーザーをごまかすようなMVNOかそうでないかという見極めが必要になります。

それらを判断する基準として当サイトでは「ポリシー」という評価軸を加えています。「ポリシー」とはそのMVNOがMVNOという事業に対してどれだけ真摯に向き合い、またユーザーに対してもしっかりとした対応をしてくれるかという基準です。

このポリシーが比較的ユーザーに向いているMVNOとして以下の記事ではIIJmioとmineoを選んでいます。そして速度が現在好調なmineoを一つのオススメSIMとして挙げさせてもらっています。

格安SIMはどれを選べばいいか 速度の他にMVNOとしての信頼性やポリシーを判断材料にすべし

2015年11月19日

長い間「速度が出てつながりやすい」格安SIMを使うためには、そのMVNOの姿勢というのも非常に重要です。果たして一時的に「つながる」のか、継続的に「つながる」のかはMVNOの持つ「ポリシー」もチェックポイントとなってきます。

 

まとめ:つながるMVNO、格安SIMを選ぶには周波数とポリシーを見極めるべき

ということで抽象的な「つながる」MVNO格安SIMを選びたい時には、使う予定の格安SIMの回線元のキャリアと使う予定のSIMフリースマホや白ロムスマホのまず対応周波数を確認しましょう。

これをすることでキャリアの持つエリア100%近く利用することが出来ます。

そして快適に「つながる」ためにもそのMVNOが提供する格安SIMの速度が今どうなっているのかを確認する必要があります。

また今の速度だけでなく過去の速度低下時の対応などからこの先も見据えて、MVNOの「ポリシー」も一つの判断基準として速度を見る際には必要になってきます。

こうした複数のポイントを抑えることで、ようやく「つながる」MVNO格安SIMを手に入れることが出来ます。そしてこのチェックポイントを見るための手助けとして、当サイトでは先ほど紹介したような以下のような記事も用意しているため、ぜひチェック用に見ていただければと思います。

MVNO格安SIMの速度比較 12月 IIJmio/mineo/楽天モバイル/FREETEL/OCN/BIGLOBE/DMM/UQ mobile他

2017年12月10日

格安SIMはどれを選べばいいか 速度の他にMVNOとしての信頼性やポリシーを判断材料にすべし

2015年11月19日

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