現在「SIMフリースマホ」というキャリア販売を通さずに購入できるスマートフォンが大きな話題を読んでいます。
総務省としてはこの「SIMフリースマートフォン」が増えることで、多くのユーザーの携帯代・スマホ代が安くなると期待しているようです。
実際のところこのSIMフリースマートフォンによってそれほど携帯代・スマホ代が安くなるとは思えないのですが、今後は省庁が主導してSIMフリースマートフォンの存在を広げようと考えているようです。
ですがこのSIMフリースマートフォンというのは、利用方法にコツのいるスマートフォンです。キャリアから販売されているスマートフォンのように全般的にサポートの充実しているものと違い、SIMフリースマートフォンは全て自分の力で設定などをしなければなりません。万が一アップデート要因などで通信が出来なくなっても、そこは自己責任として処理されて、そうした問題にはほとんどメーカーのサポートも期待できません。
SIMフリースマートフォンを使うには多大な知識と情報を集める能力が必要とされ、普通のスマートフォンに興味のないユーザーの方が活用するには結構ハードルが高くなっています。
ただそうした状態でもSIMフリースマートフォンを使ってみたいという場合に、今回はそのためにも知っておかなければいけない知識について解説したいと思います。それは各キャリア回線で使えるかどうかという分水嶺となる、対応周波数・対応Bandという項目についての知識です。この知識のあるなしによっては、SIMフリースマートフォンを選ぶ基準も変わってきますし、購入して失敗だった、というような経験も避けられる可能性のある大事な事柄ですので、しっかり把握しておいてもらいたいと思います。
docomo・au・SoftBank・Y!mobileの周波数
まずは先に各キャリアの使っている周波数をだし、その後にその周波数とSIMフリースマホの関係がどのようなものになるのかということを詳しく解説していこうと思います。ですのでその準備としてまずは主要な携帯キャリアの周波数対応表を作っておきます。
ちなみにMVNOの使う周波数も元となるMNO(キャリア)の周波数と同じです。docomo系MVNOだったらdocomoの周波数をそのまま使えますし、au系のMVNOだったらauの周波数(LTEのみの場合がほとんど)を使うことが出来ます。
docomo | au | SoftBank | Y!mobile | |
LTE Band | 2100MHz/Band1
1800/Band3 1500MHz/Band21 800MHz/Band19 700/Band28 |
2100MHz/Band1
1500MHz/Band21 800MHz/Band18 700/Band28 (850/Band26 |
2100MHz/Band1
900MHz/Band8 |
1800MHz/Band3
700/Band28 |
3G通信
(W-CDMA/CDMA2000) |
2100/Band I (1)
1700/Band IX (9) 800/Band XIX (19)(VI (6)) |
auの3Gは非常に特殊なため、 SIMフリースマホでも対応出来るものはほとんどない。 3Gを使いたい場合はauのスマホを選ぶしか無い状態。 |
2100/Band I (1)
1500/Band XI (11) 900/Band VIII (8) |
1700IX (9) |
主要なLTE Bandは太字で表現している。SoftBankが少ないように感じるが、Y!mobileの帯域も利用している端末や900MHzのいわゆるプラチナバンドを使ったLTE網で広いカバーをしている。
docomoのFOMAプラスエリアは周波数はあっていてもBandが違うために掴まないスマホ(例えばHuaweiのSIMフリー機)などがあるので注意して下さい。
快適に使えるBand
この周波数の中にも、対応しておきたい周波数や対応してても効果が薄い周波数というものがあります。それを分ける基準になるのはエリアの広さです。
一部の周波数においては都市部でしかまだ展開していないものがあり、そのLTE Bandに対応していてもあまり恩恵がないというものがあります。
代表的なものはdocomoのLTE Band3でしょう。東名阪エリアと呼ばれるごく一部の都市部でしか展開されていない高速通信網です。このLTE周波数を掴むには、東京・大阪・名古屋の中心部エリアで生活していない限りはほぼ無縁の周波数で、地方ではこのLTE Bandに対応しているSIMフリースマートフォンを購入しても、別のLTE Bandか3Gでの通信が中心になるでしょう。
快適で広いエリアで使えるのは太字で強調したLTE Bandです。特に800MHzや900MHzといった数字の低い周波数は、建物の中や地下でも繋がりやすいので、とても重宝します。
SIMフリースマートフォンの周波数・Band対応の具体例
それではこの各携帯キャリアの周波数や対応Bandと言ったものがSIMフリースマートフォンを選ぶ時の知識として何故必要なのかについて解説していきましょう。
SIMフリースマートフォンを購入する場合には、この周波数対応についても注意をしないと、最悪の場合使い物にならない事になってしまいます。
何故かというと、これらの周波数については、同じキャリアの周波数にたくさん対応していればしているほど、圏外になりにくいのです。実は携帯電話の電波というのは場所によって対応しているエリアが違います。ある場所では高い出力の周波数、また別の場所では低い出力の周波数というように、場所によって通信に使う周波数が違うのです。ですから、一つの周波数に対応していたとしても、別の周波数にも対応していないと、その周波数のエリアを離れた場合に、簡単に圏外になってしまいます。
この事を踏まえて、SIMフリースマートフォンでは、使う予定の回線の周波数になるべく多く対応した周波数を掴む機種を購入しないと、高いお金を払ったのに圏外ばかりになってしまうという問題が起きてしまいます。
実際にSIMフリースマートフォンの周波数対応・対応Band数についての比較を、同じスマートフォンの国内モデルと海外モデルで比較してみましょう。例として取り上げるのはZenFone 5です。このSIMフリースマホは日本で正規販売されたモデルと海外からの輸入したモデルでは、周波数の対応が違っており、同じスマホでも電波状況に違いが出てしまいます。
以下が国内販売版と海外販売版のそれぞれの対応Bandです。
ZenFone 5 | 国内版 | 海外版 |
LTE Band | 800MHz
900MHz 1800MHz 2100MHz 2600MHz |
700MHz
900MHz 1800MHz 2600MHz |
対応数 | docomoが3つ 広いエリアのBand1と19 SoftBankが2つ 900MHzとY!mobileエリア auが1つ Band1(Band19内包なので2つの可能性あり) |
docomoが1つ 1800MHz(エリアの狭いBand3) SoftBankが2つ 900MHzとY!mobileエリア |
このように見るとわかると思いますが、国内版がdocomoのMVNOで使われる事を想定して、docomoの使っている周波数に対応しているのに対して、海外版はその辺り日本の周波数への最適化は考えられておらず、docomoのLTE Bandにはわずか一つしか対応していません。
そのため海外版ではLTEに対応しているからと言っても、docomoの回線で使うことを想定した場合には、1つのLTE周波数にしか対応していないため、LTEエリアでの通信が範囲の狭さからすぐに外れてしまい、3G通信に落ちてしまう、場合によっては圏外になってしまう事が多々起きてしまいます。
一方で国内版はLTEの周波数には3つも対応しており、なおかつ非常に広い範囲のLTE Bandにも対応しているため、かなりの広範囲でLTE通信を可能にしています。
このように同じモデルのSIMフリースマートフォンでも、対応周波数に目を向けると使い易さが全然違う代物になります。スマホの仕様によっては同じようなスペックの機種でも、片方は圏外連発、片方はLTEエリアを広域にカバーしている、なんて事も起きるのです。
以上のようにSIMフリースマートフォンを購入しようとした場合には、スペックや価格といった部分に注目するのはもちろんですが、対応周波数に注目しなければいけません。LTEの対応Bandがどれだけ揃っているか、広いエリアのものに対応しているかどうか、3G周波数はどれだけ対応しているか。こうしたことをそのスペック表から対比させて把握しなければなりません。
今まさに格安SIMに換えようと端末選びで、その問題に直面しておりまして、情報集めている所でコチラに出会いまして、大変参考になりました。この記事でSIMフリーは諦め掛けています...
docomoだけじゃなく、SoftBankにもしっかり対応している所に魅力を感じました。
これにFeliCaやNFC対応だったら、尚更いいんだけど…