前回、docomoのスマートフォンを使った格安SIMの利用方法について解説をしました。
docomoのスマホでMVNOの格安SIMを使うまでの方法と出来ないこと | 格安スマホ回線研究所
それと同じ流れで今回はauのスマートフォンを使った格安SIMの利用方法について解説をしてみたいと思います。
ですが基本的な流れにおいてはdocomoで格安SIMを使う流れとほとんど一緒です。そのためauのスマホとMVNOでもdocomoの流れで解説したようにAPNをちゃんと入力して設定すれば使える事は使えます。
設定自体は簡単なのですが、それとは別にauのスマホでMVNOを使うための注意点もあるので、今回はそこを重点的に解説をしていきます。
auの白ロムでも格安SIMは使える
auのMVNOはdocomoのMVNOと違って種類は限られています。
auのMVNOとして選べるのは、2015年4月の時点で「mineo」と「UQ mobile」の2つだけです(法人向けにIIJもあり)。
過去に比較をしましたが、今のところ速度ではそれほど差はありません。データ通信量が多く、多様なコースを選びたいならばmineoですが、2GBのプランでも合うようならUQ mobileを契約するようにしましょう。またデータプランのみの契約ならばUQ mobileが縛りもなくていいでしょう。
au系MVNOは選択肢が少なく、速度も今のところ差はないため、選ぶ基準はデータプランに縛りがあるかどうか、そして使いたいデータ通信量が合っているかを確認しておけば、迷うことはないでしょう。
問題はauのスマートフォンです。今使っているものでも白ロムでもいいのですが、MVNO用に使うには選び方にコツが必要になってきます。そのコツについてを注意点も込みで解説していきましょう。
LTE対応機のみ、LTE通信のみ、周波数対応がカギに
auのスマートフォンをMVNO向けに使おうとした場合には、docomoと違って3Gのみに対応したスマホは利用できません。LTEが使える端末でしか使えないようになっているので、白ロムとして選ぶ際に、安いからという理由で購入してしまうとMVNOの格安SIMで通信が出来ないなんてことになってしまいます。
そして元々がLTEの通信網での接続にしかauのMVNOは対応していないため、LTE通信が圏内になるエリアでないと使えません。地方のほうでauのスマートフォンを使った格安SIM運用をしようとした場合、自分の使うエリアにLTEが入ってないと圏外になってしまいます。なので事前にauを使っている人へヒアリングをしておきましょう。
さらにauのスマートフォンを白ロムとしてこれから買おうとしている場合は、安い初期のLTE対応機はやめておきましょう。LTE網での通信しか出来ないため、快適なエリアで使うためにはLTEの周波数に数多く対応している必要があります。
auのLTE対応スマホは、2世代目になるとトリプルバンドに対応して2100MHzの広域LTE Bandでも通信が出来るようになっているのですが、それ以前の初期にLTE対応していた機種は2100MHz未対応によって通信できるエリアが狭くなってしまいます。ですからこれらのスマートフォンを購入してしまうと、通常よりも圏外になりやすいという弱さを見せます。
具体的な機種名はHTL21、PTL21、SCL21、FJL21、SHL21、SOL21、LGL21などの2012年冬モデルが対象です。これらはLTEの対応周波数が少なく、LTEしか使えないMVNOには向いていません。
iPhoneはOSバージョンによってNG
またauのMVNOではiPhoneにも一応は対応しているのですが、iOSをVer8.xx以降に上げてしまうと、使えなくなります。今のところMVNO側で対処出来る問題ではなく、Apple社がauMVNO向けに仕様を変更しない限りはLTE接続は出来そうにありません。
問題が発覚してから数回のアップデートがされましたが、どれも問題解決には至っておらず、MVNOのために仕様変更する可能性も低く、iOS8以降のモデルでは使えないということを理解しておきましょう。またiOS7のままでも、auのiPhone5ではLTEの周波数が1つしか対応していないため、圏外が多発して使い物になりません。よってiOSがVer7でもiPhone5は購入に値しません。
一部LTE機ではAPN設定が不可能
iPhoneおよびiOSに関するau向けMVNOの使用上の注意というのは比較的広く知られていますから今更感のある注意点かもしれませんが、あまり知られいない注意点として実はAndroidでもauの格安SIMを使う際の注意点があります。
それは一部の機種で「APN設定の項目が出てこない」という問題があります。APNの設定項目が無いということは、mineoやUQ mobileの接続設定が出来ずに通信させる事が不可能という事になります。auの純正契約回線のSIMカードでしか使えないという事です。
こうしたAPN設定が出来ないという問題は、例えばHTC J ONE HTL22などに見られます。このスマホではAPN設定項目がノーマルな状態では出てこず格安SIMでの利用は普通には出来ません。幸いPCと繋いでS-OFFなどのちょっと複雑な改造をすることでAPN設定は可能ですが、そのままの状態では使えません。このHTL22の他にもHTC製のスマホや一部のシャープ端末でAPNが設定出来ない可能性があります。これらは未確認なので真偽のほどは定かではないですが、利用したい機種は白ロム購入前に格安SIMで使っている人のブログなどをチェックしておきましょう。
まとめ:docomoよりも機種による制限があるので事前調査が必要
auのスマートフォンで格安SIMを使う流れのほとんどはdocomoと共通です。ですが大きな違いの一つとして、どんなauスマホでも利用できるというわけではありません。LTEへの対応やOSバージョンによる違い、そしてメーカーによってAPNの設定が出来ないものがあるなどの違いが存在しています。
auのスマートフォンは白ロムになるとdocomoのスマホよりも安く購入出来るため、au系MVNOと一緒に購入して3〜4割ほど格安スマホとしての導入費用を安くすることができますが、今回羅列したようなau系MVNOを使うにあたっての注意点に気をつけておかないと、格安SIMが使えなかったり使えるにしても面倒な操作を必要とします。
実際にauスマホと格安SIMの組み合わせを考えたら、まずそれで使えている人がいるかどうかを探したほうがいいでしょう。
たぶん、最新のVoLTE機種もまだつかえないはずです。
mineo公式ページにも「VoLTE対応機種については、現時点ではmineoサービスをご利用いただけませんが、提供可能となり次第、お知らせいたします。」とあります
なるほど。その問題については関心をはらっていませんでした。ご指摘ありがとうございます。